「やりたいこと」を答えられる生徒、答えられない生徒
こんにちは!フロンティア学院本厚木教室の西澤です。
私は最近、授業中に「将来、やりたいことって何かある?」と生徒に聞いています。
中学生、高校生共にまだまだ将来のことを思い描くのは難しいと思いますが、
やりたいことがある生徒は目を輝かせながら「こんなことをしたい」「〇〇になりたい」と話してくれます。
一方、「えっ、そんなことわかりません」「考えたことないです」と言う子もいます。
さて、ここで質問です。
「子どもにやりたいことを見つけさせるにはどうしたらよいでしょうか?」
熱心なご家庭の方であれば、「習い事に打ち込ませる」「勉強に打ち込んで可能性を探す」「たくさん本を読ませる」…すでに、そういったことを実践されているかもしれませんね。
もちろん、いろんな体験、経験を積ませたり、たくさん勉強をするのは悪いことではありません。
ですが、肝要なのは「純粋に、子どもの話を聞くこと」なのです。
それはなぜなのか?
まず、「やりたいこと」というのは「欲求」なのです。もっと泥臭く言えば、「欲望」そのものです。
それも、「将来やりたいこと、なりたいもの」というのは人の最上位の欲求であり、
「人に認められること」の段階をクリアしなければ抱けない欲求だからです。
欲求の段階について、まずはご説明いたします。
【マズローの欲求5段階仮説】
マズローの法則とは、人間の欲求は5段階のピラミッドで構成されているとする心理学理論です。アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908~1970)が考案しました。
マズローの両親はユダヤ人で、貧しく、差別に苦しんでいたそうです。
母親との関係性も悪く、友達もいなかった。
外にも中にも平穏な日常はなかったとされています。
一方で唯一、両親は教育熱心だったようです。
マズローは、大学入学当初、法律を学んでいました。
ですが成績がふるわなかったため、大学を中退してしまいます。
その後は心理学に関する複数の大学と大学院に進学し、研究を続けていきました。
そんなマズローが考案したマズローの法則によれば、人間の欲求には以下の5段階があります。
- 生理的欲求 … 生命活動を維持できる、必要最低限の欲求
- 安全欲求 … 自分の安全が保障された環境で暮らしたいという欲求
- 社会的欲求 … 何らかの社会集団に所属し、安心したいという欲求
- 承認欲求 … 社会集団の中で認められ、評価されたいという欲求
- 自己実現欲求 … 自分にしかできないことをしたい、何かを成し遂げたい欲求
そして、これら5つの欲求には以下の図のようにピラミッド状の序列があり、
低次の欲求が満たされるごとに、もう1つ上の欲求をもつようになるのです。
このピラミッド型の欲求は、低次の欲求から満たされなければなりません。
つまり、最低限の命や安全が保障され、社会的な団体に所属できている。
そして誰かに認められたり、愛情を得られていなければ「自己実現の欲求」を抱くステージまでたどり着けないということなのです。
「やりたいことがない」「なりたいものがない」という生徒は、
ピラミッドの最高位である『自己実現欲求』以前の欲求が満たされていないということなのです!
ここで一度、家はどんな雰囲気かとか、子どもたちとの関わり方を思い返してみてください。
子どもにとって、リラックスできる場所になっているでしょうか?
はたまた、子どもがやっていることや発言を頭ごなしに否定せず、話を聞くことができているでしょうか?
たとえあまり自分から話すことの少ない内向的な子、引っ込み思案な子であっても、自分のことをわかってくれる人には何かを話したいものです。
だからこそ、私は、子どもたちが「やりたいこと、なりたいもの」について話してくれたらなんでも認めます。
もし大人の我々が勝手に「善し悪し」の判断をして認めない態度を取れば、
「二度と話してやるもんか」という気持ちを抱くでしょう。
現に私もそうでした。私は昔、チャレンジしてみたいことがいっぱいあったものです。
学生時代思い切って、率直になりたいものについて親に相談したことがあります。
その時、「それはやめたほうがいい、堅実に生きなさい」と説教される形で丸めこまれてしまいました…
「どうせ相談しても仕方ない。なにかやりたいと言っても否定されるだけだ」と強くショックを受けたのを今でも鮮明に思い出せるほどです。
【純粋に、子どもの話を聞くことが「やりたいこと」をつくる】
目まぐるしいスピードで変わっていく社会。
そこでの社会生活に対応するために現代人は多くのストレスを抱えています。
家族に愚痴や文句をこぼしたくなってしまうときもあるでしょう…
ですが、忙しい生活の中で家族とのコミュニケーションが失われてしまったら、
ますます子供たちは自分の思い、悩み、やりたいことを抱え込んでいってしまいます。
自分の尺度、判断を交えずに、ただ、子どもの話を聴くというのは大変なものです。
私自身も、すでに子どもではありませんから価値観は大きく違っています。
好きなアニメ、マンガ、ゲーム…そんなものにはまっているのかと、
全く自分の興味のない話をされることもあるでしょう。
けれども、忙しい生活を過ごしている家族が自分の話を素直に受けとめてくれたら、
確実に子どもは心を開いてくれるはずです。
直接態度には出さなくとも、「話を聴いてくれる人がいるんだ」という安心感。
その安心感が、「やりたいことを見つける」土台となると私は信じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。